ピンタレストにピンを立てることの法的検討更新2016-09-18 15:42:48
ピンタレストでは、画像に直リンクを貼っているわけではなく、新たにサーバー上に画像ファイルが複製されています。
上が元画像で、下がピンタレストに表示される複製された画像です。
なお、画像は僕が著作権を持っている事務所ロゴなので、この行為自体は問題ありません。
上の画像はhttp://ns2law.jp/pict/logo141018.jpgであり、下の画像はhttps://s-media-cache-ak0.pinimg.com/236x/36/c6/e7/36c6e75bb2a929da3362e69eac55c212.jpgなので,画像ファイルがピンをたてると別サーバーに複製されていることがわかります。
これが、複製でなく直リンクであれば、まだ、グレーという論法も採り得ましたが、サーバーに別データがつくられているので、これは複製及び公衆送信に該当すると考えるほかないと思います。
そうすると、あとは権利制限規定で適法に出来るかが問題になります。
一番使えそうなのは著作権法47条の6(送信可能化された情報の送信元識別符号の検索等のための複製等を適法化する規定)です。
しかし,こちらを参照していただければわかるのですが,著作権法施行令第七条の五柱書(「法第四十七条の六 (法第八十六条第三項 及び第百二条第一項 において準用する場合を含む。第二号において同じ。)の政令で定める基準は、次のとおりとする。」)1号は,「送信可能化された情報の収集、整理及び提供をプログラムにより自動的に行うこと。 」を条件としており,ピンタレストのように情報の収集・整理にユーザーの意識が強く影響する過程を経る場合、機械的な情報の収集とは言えない可能性があります。
そうすると、著作権法47条の6の条件を満たさずピンタレストは適法化されない恐れが出てきてしまいます。
そうすると、ピンタレストにピンを立てる行為の複製主体や公衆送信主体をピンタレスト運営事業者と捉えても、当該行為を助長していると言われ兼ねないことになります。
先ほどのエントリーでも述べましたが、ピンタレスト自体は素晴らしいアイディアであり、素晴らしい機能をもったサービスだと思います。
また、ピンタレストの機能が違法と言っているのではなく、使い方次第では違法と指摘されるおそれがあるので、著作権者の許諾がない画像にピンを立てる行為などは避け、法規に抵触するおそれのない範囲でサービスを利用することを推奨しているにすぎませんので誤解なきようにお願いします。
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○平成30年1月30日 東京地方裁判所 民事46部 請求認容 判決(平成29年(ワ)第37117号 発信者情報開示 請求事件)
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○平成26年7月30日 東京地方裁判所 民事29部 #判決 (平成25年(ワ)第28434号 著作権侵害差止等請求事件 )②規約の著作権侵害について
○平成30年1月23日東京地方裁判所民事46部判決/平成29年(ワ)第13897号 損害賠償請求事件
○平成29年6月26日 東京地方裁判所 民事29部 請求認容 判決 (平成29年(ワ)第12582号 発信者情報開示請求事件 口頭弁論終結日 平成29年5月29日)
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