カテゴリ: ICT法務 タイトル: インターネット上の名誉権侵害、プライバシー権侵害、商標権、著作権等知的財産権侵害と転載・まとめサイト
更新2018-03-10 14:13:55

インターネット上の名誉権侵害、プライバシー権侵害、商標権、著作権等知的財産権侵害についてはおおよそ2つの法的手段が考えられます。
削除要請及び損害賠償請求です。そして、情報発信者に対する損害賠償請求等の必須の前提となるのが発信者情報開示請求です。
このうち、削除要請は事実上の可否は置くとした場合誰に対して行うことも特に法的な制限はありませんが、損害賠償請求はプロバイダに対しては原則的に制限されています(プロバイダ責任制限法3条1項)。
この問題を考える際に役に立つ素材として、所謂転載・まとめサイトがあります。転載・まとめサイトは、大手掲示板の書き込み内容をコピーしたり、まとめたりした2次的ウェブサイトで、アフィリエイトなどの収益を収入源にしている例が多いようです。
まず前提として、転載・まとめサイトについては、そもそも元の掲示板に情報を投稿した者と、転載・まとめサイトに情報を転載したまとめサイト管理人双方が情報をサーバーに記録したと観念できる点が特殊です。
そして、発信者情報開示でいうと、元の掲示板に情報を投稿した者のIPアドレスなどの発信者情報については、転載・まとめサイトでは取得していません。したがって、転載・まとめサイトに対して発信者情報開示請求を行っても情報の保有性が認められず奏功しない場合が多いと考えられます。
転載・まとめサイトに直接損害賠償請求を出来るのか
ただし、転載・まとめサイトに対しては不法行為に基づく損害賠償請求の余地があるのではないかと考えられます。すなわち、転載・まとめサイトにおいては、サイト管理人はプロバイダなのか、発信者なのか単純に割り切れない側面もあります。なぜなら、転載時に侵害情報をサーバーに投稿しており、転載・まとめサイト運営者には侵害情報の投稿者としての一面も見出し得るからです。また、転載・まとめサイト運営者がコンテンツプロバイダなどのプロバイダサイドの側面が強いと認定されても、プロバイダ責任制限法3条1項但書が適用される場合、損害賠償責任は免れないことになります。この意味で転載・まとめサイト運営者が損害賠償請求を免れるためには2重のハードルが課せられているとも捉え得るのです。
元の掲示板における整理
掲示板における侵害情報投稿者(=情報発信者)
元の掲示板運営事業者=コンテンツプロバイダ
元の掲示板運営者にサーバーを提供している事業者=コンテンツプロバイダ
転載・まとめサイトにおける整理
掲示板投稿者(=情報発信者)。ただし、まとめサイトは情報を保有しない。
転載・まとめサイト管理人(=情報発信者とも、コンテンツプロバイダとも言い得る)
転載・まとめサイト管理人にサーバーを提供している事業者=コンテンツプロバイダ
では、転載・まとめサイト管理人にサーバーを提供している事業者(=コンテンツプロバイダ)に、転載・まとめサイト管理人の情報を開示請求できるのでしょうか。この点は、まとめサイト管理人が情報発信者に該当すると解されれば、可能と考えられます。すなわち、損害賠償請求の最初のハードルであった、まとめサイト管理人に情報発信者としての側面を見出し得るかという論点が、ここでもパラレルの議論として当てはまることになります。
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